連載:気まぐれゲーム雑記 第725回:CD ProjektとバンナムのDLCに対する考え方が対照的で実に良い

連載シリーズ ロゴ気まぐれゲーム雑記の第725回は、ゲームを作る側はビジネスなんです。

気まぐれゲーム雑記
第725回:CD ProjektとバンナムのDLCに対する考え方が対照的で実に良い

プレイヤーはビジネス事情なんぞ知った事じゃありません

感情のコントロールさえ視野に入れる必要アリ

AZです。生まれてこの方ずっと同じところで生き続けているので、ふるさと納税の価値がイマイチわかりません。

それはそれとて、ウィッチャーシリーズなどで知られているCD Projektですが、最高経営責任者Marcin Iwinski氏がウィッチャー3で無料のDLCを16個配布する意味を語っております。

Marcin Iwinski:

我々のゲームにフル・プライスを払ってもらったわけだからね。我々は彼らに借りがあるんだ。

これは我々の意思表示だよ。我々ゲーマーはこう扱われたい、無料のDLCをくれ、ということだ。巨大なコンテンツである必要はないし、私も巨大なコンテンツを配ると言っているわけではない。数十時間のストーリーラインではなく、安価な小規模コンテンツを提供するということだ。そうすれば我々のゲームに対する好感も上がると思うし、アドベンチャーをより楽しんでもらえるようになるだろう。

それに、違法ダウンロードしようと考えていた人たちも、考え直してくれるかもしれない。中古屋に売って他のゲームを買おうと考えていた人たちも、思い直して棚にしまっておいてくれるかもしれない。そうなったら最高だし、それを望んでいるが、そうならなくても問題ない。楽しんでくれることを願っているよ。

[引用元:Choke Pointさん]

今のご時世、涙が出そうなくらい嬉しいプレイヤー目線での開発会社ですねぇ……。

元々、CD Projektはプレイヤー達とかなり誠実に付き合ってきているメーカーで、好意的に思っている人の方が多い会社の一つと言えます。ウィッチャー3が延期を決定した際に、なぜ延期が必要なのかをきちんと順立てて説明するくらいの対応でした。日本でありがちな「クオリティ向上のため」などという訳の分からない理由ではなく、当然のことをきちんと説明しただけで好感度が上がってしまう不思議がそこにはあるわけですが。

特に注目なのは、「我々のゲームにフル・プライスを払ってもらったわけだからね。我々は彼らに借りがあるんだ。」は名言とも言えましょうか。フルプライスで、これでもかと楽しませようとしてくれるのは、本当に喜ばしい。今のDLCの在り方は仕方がないと思う反面、やはり「発売日に買ったモノは完全版ではない」と思えるケースが多いだけに、CD Projektは実にらしい心意義を感じざるを得ません。

一方で、バンナムが「テイルズオブゼスティリア」で1300円で配信する予定だったDLCを期間限定で無料にするという対応を取りました。

激しく、デジャブですねぇ……。

「テイルズオブゼスティリア」は、20周年記念タイトルと銘打たれただけあってか、その期待度もかなり高かったわけですが、現時点だと炎上案件になったといっても過言ではないレビューが並んでいます。私自身、プレイしていないのでその事についてとやかく書くつもりはありませんが、レビューの多くはヒロインと謳われた「アリーシャ」の扱いとシナリオに問題が集中している事は何となくわかります。いやまぁ、それで内容の全てをわかったつもりになる気もありませんが、元々そのような状態でくすぶっていたモノが、渦中の「アリーシャ」をメインにした有料DLC(1300円)が本編後日談として配信される事がフラゲで判明したため、ただでさえ炎上気味だったところへ燃料が投下されてしまったという印象です。

で、その日のうちに該当DLCを無料で配信する事を発表という流れになったわけでして。この一連の流れは、ジョジョASBを見事に彷彿とさせてくれます。流石はバンナムというべきところでしょうか。むしろ、炎上していなければ、普通に1300円で売られていたような気はしますし、精々割り引くくらいの思惑だったようには感じられます。バンナムのいいところは、やたらめったら「対応が早い」というところでしょうかね?

少々辛口な事を書いてしまうと、最近のゲームは最初からDLCを出さない宣言をしていない限り、どのゲームも発売日に買うモノは「不完全版」です。DLC然り、完全版然り、あらゆる面において、「待っていればそのうち完全版が出る」とか「DLC全部入りで安くなる」等々の意見が出てくるのも当然ではありましょうか。実に「ビジネスライク」である事が、ヒシヒシと伝わります。会社的な事情が色々あるのも理解できるのでもどかしいとしか言い様はありませんが、どちらかと言えば既存のやり方に縛られるのではなく、好感度が上がるようなアプローチの方が将来的に見ても良い方向へと進むのは間違いない事に思えてなりません。

このような感じに、DLC一つとっても企業によって色んな対応を見せてくれます。海外に比べたら「高価な娯楽」である日本の家庭用ゲームですが、各メーカーがどういった思惑で業界を盛り上げていこうと言うのか、今後も生暖かくウォッチし続けていきたいですね。


しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:CD ProjektがDLCについて、めっちゃ良い事いってると思って記事書いてたら、バンナムがやらかした感じがしてて企業でもこれだけの差があるのかぁと思い知らされたよーってなお話です。

しゃきーんさん:そりゃま、日本と海外じゃ違うだろうしな。

しょぼーんさん:いや、海外でもUBIとかEAはしっかりお金を取って娯楽させようってなアピールをするけどね。だから、プレイヤー目線の開発会社ってのは海外に多い! みたいな話にはならない。でも、日本で露骨にその姿勢でやっているところはないのだろうなぁとも思えてしまう。……ま、それでも根本的な事として「面白ければ」許容されますけどネー。

しゃきーんさん:テイルズの場合、許容されなかったから炎上した感じ……なのかねぇ?


【アマゾンさん】

タイトルとURLをコピーしました