連載:気まぐれゲーム雑記 第353回:インディーズタイトルがローカライズでインディーズプライスじゃなくなったら、どういう価値になるのでしょう?
気まぐれゲーム雑記
第353回:インディーズタイトルがローカライズでインディーズプライスじゃなくなったら、どういう価値になるのでしょう?
ちょっとした問題提起でも。
価格も価値の一つである
近場のラーメン屋が閉店する事になったらしく、意外な穴場が失われる事に「現実とはこうも厳しいものなのか」と何故か寂しくなったAZです。まぁ、半年もすれば忘れてしまうのもまた人間だと思いますが。
ところで、5pb.を有するMAGES.がPCゲームダウンロードサイト「Magino Drive」を8月末頃にオープンしたということで、「Magino Drive」が洋ゲーを日本でダウンロード販売する狙いがあるといった旨のインタビュー記事が公開されています。
MAGES.は2013年8月29日,PCゲームのダウンロード販売サイト「Magino Drive」をオープンした。また,同じ8月29日には,同社がローカライズを行ったPC用ソフト「サンクタム2」が発売となり,Magino Driveでの配信も開始された。
~中略~
4Gamer:
そもそもは海外のPCゲームを日本に流通させることが目的だったわけですね。
サンクタム2市川和弘氏(以下,市川氏):
さらに言うなら,マイナーでニッチ,マニアックといった,いわゆる“洋ゲー”を日本でダウンロード販売しようという狙いがあるんです。
[引用元:4Gamer.netさん]
日本のPCゲーム市場の現状を踏まえるに、そこに乱入してくるあたりは実に面白い。その事については
4Gamer:
PCゲームを扱っているメディアが聞くのも何ですが,今,PCゲーム販売のビジネスは日本で成立するものなのでしょうか。
市川氏:
ビジネスになりにくいのは確かです。ただ,皆がそう考えて手を出さなくなっているので,逆に言うとライバルが少なくなっている分野なんですよ。
[引用元:4Gamer.netさん]
という事で、ローカライズをメインに売っていくことになるという話になっております。
日本にテラリアが持ち込まれた時からちらほらと書いていますが、インディーズタイトルがローカライズによってインディーズタイトルらしからぬプライスになると、随分と違った見え方がしてきます。そういった代物に、果たしてどれだけの価値が見出せるのだろうか? というのが今回の話のテーマです。実際、テラリアはSteamで1000円程度で売られています。日本語化も有志な方のパッチを入れるなり、辞書を片手に悪戦苦闘しながらプレイする事を踏まえても、日本語PS3版の3990円の価値はあったのだろうか? と考えるとイマイチ答えが出て来ない日々が続くわけです。まぁ、メーカーがビジネスとしてやっている以上はどうにもしようがないところですけど。
事実、5pb.がローカライズをしたサンクタム2は、Steamで26.98ドルで販売されています。
4Gamer:
先ほど話題に出た「サンクタム2」は,Steamで購入してもMAGES.でローカライズした日本語版がプレイできますよね。Magino Driveで販売されているものは,DLCを集めた「Season Pass」が同梱されて4900円ですが,Steamでサンクタム2とSeason Passを合わせて購入すると26.98ドル,1ドル100円換算で2698円です。かなりの価格差だと思うのですが,なぜこのような価格設定になっているのでしょうか。
長沢氏:
今回,Magino DriveとSteamで同じものが配信されているのには少々特殊な事情があるんです。今回,私たちが初めて手がけたローカライズタイトルということで,Magino Driveからのダウンロード版やパッケージ版だけではなく,Steamから「サンクタム2」を購入したという方にも,そのクオリティを確認していただきたいという狙いがあったんです。
[引用元:4Gamer.netさん]
こういったあたりに突っ込む4Gamerさんは流石というべきでしょうか。ですが、やはりインディーズをローカライズして販売するビジネスであるという様が見て取れるのが次の会話。サンクタム2はSteamで購入してもMAGES.でローカライズした日本語版がプレイできて、それがレアなケースだという話題から
4Gamer:
ただ,レアケースとはいっても,同じものが大きな価格差で配信されるのはやはり気になります。
長沢氏:
「サンクタム2」は,日本ですと小売店でパッケージ版(6090円)を販売していますから,その部分とのバランスも考慮するということになるので。
4Gamer:
日本の国内流通との兼ね合いがあると。
長沢氏:
パッケージ版の流通をしてくださっている問屋や店舗様だけでなく,パッケージ版を買ってくださったお客様への配慮としても,価格差を少なくしています。したがって,今後パッケージ版を出さずにMagino Driveのみで配信するようなタイトルであれば,また違った価格付けになります。
4Gamer:
その配慮が必要というのも理解はできるのですが,やはりプレイヤーの立場からすると,そもそもパッケージ版の価格が高すぎないか,同じ内容なのにSteamと約2200円の価格差があるのはおかしくないか,という思いが先に来てしまうと思うのですが,そのあたりはどうお考えですか。
長沢氏:
パッケージ版や,Magino Driveで購入頂いた「サンクタム2」には,日本語マニュアルのPDFファイルが付属します。また,日本語でのサポートを利用できるところも,Steam版にはない点ですので,そこに価値を感じていただければと思っています。
[引用元:4Gamer.netさん]
ということで、SteamとMagino Driveのサンクタム2の価格差の価値は日本語マニュアルな部分や日本語サポートにある、ということのようです。これはまた、何とも言いがたい。少なくとも、PCでサンクタム2をするようなPCゲーマーは、かなりはっきりとどういうゲームなのかを認識しています。日本語マニュアルと日本語サポートがあるというのが、どういったメリットになるのかがちょっと見えて来ないです。あ、ちなみに私自身は幾多のPCゲームを嗜んで来ましたが、生まれてこの方一度たりとも日本語でのサポートを使った事はないので、そういった結論になってしまうのかもしれません。
インディーズゲームをDL販売しているPLAYISMさんは、かなり価格を抑えています。例えば、メゾンド魔王はPLAYISMだと360円。英語版も含めたモノはSteamだと3.99ドルです。タワーディフェンスが好きなら、間違いなくそれだけの価値があるゲームと言えます。むしろ、利益が出ているのかどうか心配になってしまいました。
また、Magino Driveでも配信されている「トーチライトII」ではPLAYISMさんが1980円。Steamだと19.99ドルとなっていて、ディアブロシリーズと比較されながらも「価格」という価値を押しだしたトーチライトは、海外だと確かな認知度を得ました。こういうやり方があるのは間違いないでしょう。
インディーズは、ゲームとしての魅力と共にその価格も魅力のウチの一つとして存在するのは間違いありません。それが、ローカライズが加わって日本だとインディーズっぽくなくなるというのは、少々残念でなりません。とはいえど、メーカーが日本語化しないとやり方がわからない人がいるのも確かなわけでして、要するに「インディーズタイトルをメーカーがローカライズする際に、いくらなら納得できるのか?」という流通を含めた価格の在り方をユーザーが理解できない点が問題なのかな? とも思えました。何ともモヤっとした話ですが、すでにPCで遊んでいる方々へのアプローチと、新規ユーザーをターゲットとした場合の上手いバランスに期待を寄せたいものですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:なんか最近、インディーズタイトルを持ち込んでローカライズプライス加えたからよろしくね! って価格が妙に高くて、大手メーカータイトルならまだしもインディーズでそれはどうなの? って思いがあったんで、思いの丈を書いておきました。
:うーん。まぁ、ローカライズが大変なのも理解は出来るがな。
:ビジネスでやる以上はどこかで儲けが発生しないと駄目なんだろうけどね。そうなると、PLAYISMさんとかはどうやって儲けてるんだろうか? という思いが出てくるわけです。でも、インディーズにとって価格は確かな価値の一つなんだから、ローカライズを入れてその価値を失っちゃうのは勿体ないやり口だと思うんだよねぇ……。
:実際、どれくらいの利益があるのかがわかりゃもうちょっと話のしようがあるのかもしれんけど。……ま、人は荒削りであっても安くて良質なモノの方が魅力的に感じるっつー話でもあるわな。
:
:
:
: