連載:気まぐれゲーム雑記 第293回:Wii Uは1台1万円以上の逆ざやと伝えている記事がちょっとツッコミ満載過ぎた、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第293回:Wii Uは1台1万円以上の逆ざやと伝えている記事がちょっとツッコミ満載過ぎた、と言う話題
メディアの質も問われる時代なわけで。
Wii Uの現状を伝えながら、変な情報も混じる記事?
現状、まだまだ悪戦苦闘している状況のWii Uですが、逆ざやが1台1万円以上という記事が掲載されています。
“王者”任天堂、なぜ苦境に?深刻化するソフト不足、開発会社離れ…対応策に懸念の声も(ビジネスジャーナル)
Wii Uは製造原価が販売価格を上回る逆ざやも大きい。「あれもこれもと作り手の思い込みでスペックをてんこ盛りにしているので、1台売るごとに1万円以上の赤字を垂れ流している」(ゲーム業界関係者)といわれている。
[引用元:ビジネスジャーナルさん]
業界関係者とは、どちら様でしょうかね?
未だに任天堂さんを王者という見出しにするあたり、非常にアレなライター様なのかなぁ? と思わせてくれる記事ですが、ビジネス系の記事はまだまだこういった類のモノが多いです。ちなみに、逆ざやの報道は去年の段階だと次のような話題が出ています。
「Wii Uの逆ざやはソフトが1本売れれば解消」米国任天堂レジ―社長がインタビューで明かす(インサイド)
米メディア・マーキュリーニュースの報道によれば、「発売当初は逆ざや(コストが売上を上回り損失が出る状態)だが、ビジネスモデルをどのように変えていくのか?」という記者の質問に対し、レジ―社長は「ビジネスモデルは急激には変えられませんが、もう間もなく本体と併せてソフトを購入してくれるお客さんを獲得できます。1本でもソフトを購入してもらえれば収益は完全に黒字になります」とコメントしています。
[情報元:インサイドさん]
この差は何でしょうか……?
当たり前の話で、ゲーム1本の価格は1万円超えるモノはそうそうないです。せいぜい各タイトルの限定版かコーエープライスのどちらかくらいでしょう。
また、どちらの記事の信憑性が高いかというのは一概に何とも言いがたいところですが、少なくともインサイドさんの記事の方が任天堂アメリカの社長であるレジー氏が回答した事としています。どちらに軍配が上がるかは、見て然るべきです。
他の内容も見てみる事に……
ついでに、コールオブデューティシリーズについてもさりげなく言及されていまして。
「コール オブ デューティ」シリーズは、全体で2200万本以上を売り上げたヒット作だったが、Wii U版の販売はわずか20万本。このため、今年の最新作はWii U版を制作していない。
[引用元:ビジネスジャーナルさん]
お、おう。そもそもWii U版コールオブデューティは「コールオブデューティブラックオプス2」しか発売されていないので、全シリーズと単体を比べる事自体がナンセンスです。ついでに、海外じゃコールオブデューティ最新作の「コールオブデューティ ゴースト」はWii Uでも発売される事が決定しています。
おまけに、Wii Uのインディーズ対策についても。
Wii U向けソフト不足の深刻さは、さすがの任天堂も認識しているようで、同社は今月から慌てて開発ツールの無償配布を始めた。これまではソフトの品質保証の観点から、同社の取引基準をクリアしたゲームメーカーにのみ有償配布していたのを無償に切り替えたのみならず、フリーのプログラマーでも同社に登録すれば国内外を問わず無償で配布する仕組みに変えた。
だが、前出と別の業界関係者からは「実績のわからないフリープログラマーにまで門戸を開放したのは泥縄そのもの。その品質を審査する社内態勢も整っておらず、玉石混交で販売現場は混乱するだけ。それ以前に、ソフト開発費の高さの解決策を何も提示していない。これでソフト不足解消は、とても無理」と指摘している。[引用元:ビジネスジャーナルさん]
この時代錯誤感は何でしょうかね。
実績の分からないフリープログラマーに門戸を開いているのは、ソニーさんもマイクロソフトさんも同じです。インディーズとはそういう場です。実績のないいち個人が大きく飛躍できるかもしれない可能性を秘めた場として存在しているにも関わらず、本当にこんな事をいう業界関係者がいるなら時代を読めていないという他ありません。むしろ、任天堂さんはいち個人には門戸を開いていないだけに、ソニーさんやマイクロソフトさんよりも固いです。
なんでしょうか、単なるゲーム好きの私如きでも業界関係者になれちゃいそうな気分にさせてくれますね。
このような記事は相変わらず数字上正しい事を明記しながら、某業界関係者の証言としてさも現実味があるように書くというテイストに仕上がっていて、実に愉快痛快です。あっている部分はあっているモノとして、何となく違うように思える情報は鵜呑みにしない方が良いと思わせてくれる内容でしょう。といったところで、こういった記事を十全と信じてしまう人が多数いるのも確かです。色々な情報が乱立する中、どの情報を信じるかという目が重要にもなります。当然、この記事を書いている私自身もです。
より多くの情報を見て、自分で判断することの大切さを再認識させてくれたビジネスジャーナルさんに感謝しつつ、自分でも間違った事を書かないよう気をつけたいものですね。……もちろん間違った場合は、全力で謝罪、および修正させていただきます。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:なんかビジネス情報を出しているところの記事がちょっとアレな感じがするのでご紹介したわけだが……。
:素晴らしいくらいに、煽り記事と言うヤツですな。書いている人も、分かってるんだか分かってないんだかわからない感じなのが、実に素晴らしい。特に業界関係者の証言というのが、100%信用できるぜ! 的なノリで書いているのが本当にアツイのです。
:……それ、皮肉だよな?
:……そう読み取れなかったら、もうちょっと情報を見る目を養った方が良いかもしれませんよ?
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