連載:気まぐれゲーム雑記 第175回:“Project Discovery”は良いコンテンツ探しとなれるのか? と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第175回:“Project Discovery”は良いコンテンツ探しとなれるのか? と言う話題
どの業界もコンテンツ探しに必死なわけで……。
気がついたら発表されてた“Project Discovery”
昨年8月末頃に、SCEと角川ゲームス共同プロジェクトとして“Project Discovery”が発表されました。
何をするプロジェクトかと言えば、Vita向けのノベルスゲームエンジン“Discovery Engine”を使って(当時は開発中とされていた)ゲームを作るために、シナリオライター・グラフィックデザイナー・サウンドデザイナー・ボイスアクター・パッケージデザインの5部門の募集を行って新しい作品を作る、といった趣旨のものです。プロアマは問わないもので、オリジナル作品なら同人も認められていた気がします。……確か。
そんなProject Discoveryですが、先日授賞式が行われました。詳しくはこちら。
まとめると次の様な感じ。
- 応募締め切りの4日前は応募総数が30件ほどしかなかったが、最終的に516件集まった
- シナリオライター部門は、Excellent Prize(最優秀作品)が恩田竜太郎氏、Spirit Prize(佳作)が押石八兎氏
- グラフィックデザイナー部門は、Excellent Prizeが飴えりか氏Spirit Prizeがnakazy氏
- サウンドデザイナー部門は、Excellent Prizeが東原一輝氏、Spirit Prizeが橋口礼氏
- ボイスアクター部門は、Excellent Prizeが川上晴香氏、Spirit Prizeが堀龍也氏
- 特別賞 ROBOT賞は、Special Prize 北野梅花氏
- パッケージ部門の該当者はなし
- 最優秀賞受賞者が製作に参加するパイロット版は、PS Storeにて今年秋に配信予定
- Project Discovery 2の開催も発表されたが、詳細は後日改めて発表
ざっとこんなところでしょうか。
というわけで、このProject Discoveryは企業にとっての新しいコンテンツ募集の場として、クリエイターが成り上がる場として上手く機能するのかどうかという考察をアレコレ書いてみようかと思う次第です。
結構驚いた応募総数
純粋にですが、応募総数には驚きました。発表が8月末頃で応募締め切りが12月7日となると大体3ヶ月半です。やはりシナリオを書く時間として長いか短いかは、アマチュアさんが手を出すには敷居が高い気はしていました。むしろ、4日前の30件ほどといった少しだけでも集まったと納得する方が正しい路線で、516件は良く集まった方には思えます。
で、受賞名のわかりにくさはソニーお馴染みなので良しとしまして、シナリオライター部門を制した恩田竜太郎氏は、プロかアマかと言えばプロです。PSPで発売された「PhaseD 白影の章」「黒聖の章」のシナリオを手掛けています。……管理人は、ツイッターで知りました。
純粋に、3ヶ月半でハイクオリティなシナリオを手掛ける事ができるプロ、という目で見れば実にすばらしい速度でしょう。プロのシナリオライターさんなので、ある程度話は考えていたものなのかもしれません。
当然それは良い事ではありますが、“Project Discovery”という一つのプロジェクトとしてみれば、やはり敷居の高さも同時に感じてしまうところでもあります。とはいえ、商品として売るものなので確かなクオリティが必要なのも間違いありません。もとより、プロアマの作品を募集したわけですし、応募総数が大量なものでなければプロの作品の方が際立つのは目に見えた結果のようには思います。まぁ、それでも臆せず突撃してこそアマチュアの醍醐味とも思いますが。
小説じゃないにせよ、ノベルスゲームは極めてその形に近いモノがあります。ゲームをビジュアル面で評価されることは少なく、むしろその内容で評価されます。評価の高い「Fate」や「ひぐらしの鳴く頃に」「シュタインズゲート」などはその例に漏れず、シナリオ面で最も評価されています。特に「ひぐらしの鳴く頃に」を同人でプレイしていた時は、中々素晴らしいビジュアル面を誇っていました。……うん、あれこそ良くも悪くも同人でしょう。もっとも、そういった作品をビジュアル面とレーティングさえ調整すれば商業ベースに持って来る事ができる、というのを知らしめた一例でもあります。
ハッキリ言えば、1回目の“Project Discovery”は応募開始から締め切りまでの短さや、当時のVitaの普及面を見て、周知不足感は否めません。ですが、次回はVitaの普及具合や実際にパイロット版として作られる作品の評価でも応募総数は変化しそうですし、場合によっては1作品のみ作るのではなく複数のタイトルが作られる……かもしれません。
“Project Discovery”が今後、企業にとってもクリエイターにとっても良い場となるかどうかは、Vitaの普及や初のパイロット版の評価にかかっています。次回がどうなるのかも含め、色々な展開を楽しみに待ちたいですね。
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:なんか、気づけばProject Discoveryが発表されてたぞーってんで、思うところを書いて見やがりました。
:1回目なんてよほど大々的に告知しなきゃそうはひろがらんもんだし、頑張ったほうじゃねーの?
:初出がゲーム天国だったからねぇ……。あれはこう、うん、色んな意味で宣伝としては失敗だった。ま、それはおいといて、Vitaも値下げされて一定の活気が出ているようないないような流れだから、Vitaの普及も合わせてどうなっていくのかは生暖かく見守りたいっすな。……プロアマ問わず、色んな作品が楽しめるようにして欲しいねぇ。
:一回の“Project Discovery”で一作品ってのはアレだよな。ま、すべては今後次第ってことで。……あと、ゲーム天国には余り触れてやるなよ……。
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