連載:気まぐれゲーム雑記 第160回:アイテム課金の是非、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第160回:アイテム課金の是非、と言う話題
視点の違いでもあるわけです。
みんな大好きクリフB
かつて、Epic社でアンリアルやギアーズシリーズを手掛けたクリエイターであるCliff Bleszinski氏ことクリフB。
多くのユーザーが、個人スタジオを作るのでは? とその動向に注目されていますが、その軽快な雰囲気で本音を話す人柄から、今のところはゲーム業界やゲームに対して意見を述べるようなご意見番的ポジションとなっています。
そんなクリフBですが、アイテム課金の是非について持論を展開したのが話題となっています。詳しくはこちら。
まとめると次の様な感じ。
- 製品を提供しているのは営利目的の企業であって、製作、取引、そして素晴らしいゲームをお金のためと栄光のために発売している
- お金を儲けてビジネスを運用するのは本質的な悪ではない
- 高品質なゲームを製作するためには、数千万ドルもの予算が必要で、広告費を加えれば最大で1億ドル以上に達する
- トリプルA据え置き市場においては、テレビCMで莫大な費用がかかるし、ロンチイベント、グッズ販売などでさらにかさむ
- ゲームスタジオの開発者達は、みんなに愛されるゲームを作るために時間を費やす一方で、生活をして家族を養う必要がある
- アイテム課金に関して、ゲーマーはパブリッシャーやデベロッパーが「はした金を巻き上げている」などと憤慨している
- 「何も分かっていない巨大な悪の企業がお金を奪おうとしている」事に怒りの矛先を向けている
- EAが悪者で、Valveが善人というミームはでたらめ(※ミームとは、人の心から心へコピーされる情報)
- Valveは素敵な企業であるのと同時に、より多くのお金を稼ごうとする企業で、単にイメージコントロールが優れているだけ
- 多くの人はEAのOriginを叩くのが好きだが、Steamも酷かった事を忘れている
- 基本プレイ無料のビジネスモデル、またの名を4,000ドルつぎ込むのも自由なモデルは、否が応でも定着した
- Gears of War 3で武器スキンを購入出来るようにしてユーザーの怒りがEpicへ向いた時もあったが、結局飛ぶように売れた
- 全ての人がゲームを中古で買うようになったらゲームはなくなってしまう
- ゲームや販売方法を気に入らないなら、お金を支払うべきじゃない
この発言は、EAの幹部が「すべてのゲームにアイテム課金を導入する」「ユーザーはそれらを楽しみ受け入れている」といった趣旨の発言をしたことから端を発し、コアなゲーマー達から反発を受けている事態にクリフBが一石を投じたモノとなります。
というわけで、今日はそんな日本でも話題になりそうなアイテム課金の是非とは如何に? という話題に触れてみようかと思う次第です。
どの視点で見るのかと、さじ加減が重要
クリフBの書いた記事は、非常に説得力があります。
基本的に、ゲーム製作は慈善事業ではありません。ビジネスです。どこかでお金が回っていて、その開発費を回収しなければなりません。そして、さらに企業は利益を得ないと会社は潰れてしまいます。そうなっては本末転倒なのです。作っている人だって生活がかかっているのは、当たり前な事でしょう。
また、企業に対するイメージコントロールというのも上手い言い方で、多くの人にとって良いイメージの企業と悪いイメージの企業があるとは思いますが、基本的に「どちらも企業」なので、「儲からない事はやらない」のは当たり前なのです。
ですが、これはあくまでも「企業側から見た場合」という事になります。
企業はどこでその「イメージコントロール」を失敗するのかというと、大体「ゲームシステムの根幹部分に対して課金させようとした場合」が多いでしょうか。また、「課金をしないとゲームがマトモにプレイできない」というケースも当てはまりやすいです。あとは、「本来あった機能を削除してアイテム課金させる」のも好まれないモノとなります。
そういった事をすると、そのゲームのイメージが落ち、また企業のイメージもダウンしていくわけです。ユーザーの視点で見れば、一度企業に付いた悪評は中々洗浄されがたいものがあります。
ですが、実際アイテム課金がベースのFree to Playのゲームは世の中に多く出回っています。なぜするのかと言えば、儲かるからです。しかし、以前付いた悪評や「アイテム課金ゲームの質そのものに疑問を抱く」人も多く、その「ゲームに対してのさじ加減」が重要となります。
丁度良いさじ加減でやっているゲームは、PSO2でしょうか。無料でもやれることはやれて、課金すればなお楽しい、というバランス。無料で公開しているのは、慈善事業だからじゃありません。無料にすることで間口を広げるのがFree to Playのビジネスモデルだからです。
基本的に、アイテム課金は「払いたい人は払ってプレイする」スタイルが正しいです。それを「アイテム課金のアイテムを買わないとゲームにならない」タイトルが、いくつも存在するのが問題でしょうか。
個人的に思うのは、アイテム課金の是非は「何に対してアイテム課金とするか」が最も重要視されるのではないでしょうか。ユーザーがより多く求めるであろう「アイテム課金」なら、きっと喜ばれると思うのですが……。ま、それがわかっていれば企業も苦労しないわけですけどね!
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:僕らのクリフBがアイテム課金について吠えたぞーって話題です。
:アイテム課金とは、またシビアな問題だな。
:んー。とどのつまり、払いたい人は払えばいいし払いたくない人は払わなければいいんだけどね。大体は、クリフBの言っている事は肯定できるかな、と思う次第。でも、ゲームシステムの重要な部分に課金させるような仕組みは賛同できないから、そこのバランスは上手く取ってもらいたいものですな。
:そこらへんはもう、企業も色々試行錯誤なんだろうなぁ。本当にユーザーが欲しがるモノは何なのか。それを考えながらゲーム開発をしないといけないってのは、大変な時代になったもんだ……。
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