連載:気まぐれゲーム雑記 第148回:業界未来図に良い意味で悶々する、と言う話題
気まぐれゲーム雑記
第148回「業界未来図に良い意味で悶々する、と言う話題」
ゲーマーの想像力や妄想力は人一倍! ……だといいなぁ。
久しぶりに水口氏が語る記事をみた
水口哲也氏といえば、「ルミナス」「Rez」など独自色が濃いゲームで知られていたクリエイターです。
今では、自身が設立したキューエンターテイメントの取締役を退任し、アドバイザーになった事でも話題を呼びました。その後は、慶應大学大学院でメディアデザイン科の非常勤講師になったり、金沢工業大学客員教授で教鞭を振うなど、なんとも素晴らしいポジションにたどり着いた御仁でもあります。
ちょっと古い話題ですが、そんな水口氏がゲームの未来を10個のキーワードで語るという記事が掲載されました。詳しくはこちら。
まとめちゃうと次のような感じ。
1.クラウド
- クラウド化によってどんなデバイスからもハイクオリティなゲームが遊べるようになる
- 今の人達は物質(ハード)に対する執着が揺らいでいて、音楽業界だとCDからiPodに移行した
2.デモクラタイゼーション(民主化という意味)
- 「OUYA」のようなファンの民意で作られるハードが存在するのは非常に面白い
- クラウドファンディングによって、ユーザーが作り手側の仲間になるというのは、これからの未来の形の一つ
- 今後はユーザーも巻き込んだクリエイティブの欲求というのはキーワードになるし、初音ミクで起こっている事もユーザーが能動的にかかわっているからこそ、愛着心も強くなる
3.開発エンジン
- 海外では、「Unreal Engine」や「Unity」などオープン化されたエンジンが広く使われている
- 逆に日本は開発エンジンがクローズドになっているため、上手く回せていない
4.インティーズディベロッパー
- インターネットが主戦場となっている今、クラウド対応が本格的になればインティーズディベロッパーの参入ハードルはかなり低くなる
5.ソーシャルゲーム
- GREEやDeNAは、ハードをつくらないぶん利益率が非常に高い
- 日本のゲームがそのまま海外で受け入れられるほど、海外市場は甘くないので、どうやって調整していくかが勝負の分かれ目
6.フリーミアム(Free to Play、基本料金無料の事)
- タダならとりあえずプレイしてみて、気に入ったらお金を払うという魅力には勝てない
- これからは、人の気持ちや感情に則した課金法のアイディアがたくさん出てくると思う
7.メディアアート
- ゲームの表現力が上がり、様々な共感体験が得られるメディアとして認知され、それがアートとして評されるようにまでなった
8.ストーリーテリング
- ゲームが主としてデザインしているのは「体験」だが、その体験にストーリーを絡めて設計されている
- 物語には一人称の物語と三人称の物語があり、それらは似ているようだけど全然質が違うモノで、一人称の方が愛着心が強い
- ゲームの一人称についてのストーリーテリングは今後色々な手法が実験されていくと思っている
9.リアルゲーム
- 「リアル脱出ゲーム」など本当にリアルな世界でゲームを作るのは、愛着心の新しい形でもある
- その背景は、ネットの普及などもあるが、シンプルにリアルなモノを楽しみたいという欲求が出てきているように思う
10.新世代のクリエイター
- 何か特定のことだけができるという人は難しく、アートとサイエンス、クリエイティブとビジネス、ハードとソフトなどをひとつの「群」として見る新しい目が必要
- コミュニケーション能力も重要で、日本人はコミュニケーションが下手だが、言葉の問題ではなく気持ちの問題
- 自分のイメージを伝えるための表現能力は重要
- 日本人は頑固だったり意見を言わなかったりどちらかへ極端に振れる人が多い
- これからのクリエイターは、コミュニケーション能力と同時に、意識下にある人間の欲求を可視化できる人が求められる
かなり長い内容になっていますが、中々に読み応えがあります。
ご紹介した記事は一ヶ月ほど前に公開されていて、そこまで鮮度は高くありませんが、ソニーの次世代機が出そうとか何だとか、次世代機イヤーになりそうな今年にはうってつけの話題に思いましたので、本日はそんな次世代機に見る業界予想が悶々としてて何とも面白い、という話題をしてみようかと思う次第です。
クラウド、民主化、インディーズなどに悶々
やはり、クラウドという言葉は多くの人の共通認識として重要な技術であると言えます。クラウドは簡単に言うと、サーバーでゲームの処理を行い映像をモニタに返すという技術です。懸念されているのは、サーバーからアクセスしその結果を返す処理のために、そのやりとりでの遅延や、今の日本のネット回線でどれくらいの事ができるかということ、サーバーが飛んだらセーブデータも飛ぶことになるので、そこらへんの話でしょうか。まぁ、そういった話題は結局なところ、次世代機がそれを搭載するか否かという話になります。ソニーがプレイステーションミーティング2013で次世代機を出してくるなら、その時に答えはわかるでしょう。
また、クラウドファンディングも去年は実に盛り上げてくれました。日本だと漫画家さんがクラウドファンディングで成功したというのがありますが、日本のゲーム業界だとまだそこまで大きな流れを作っていません。日本でもこの流れがくれば面白くなるとは思うのですが、PCゲーム市場の土壌が育っていない現状だと中々踏み切れないでしょう。PSモバイルのような、各ハードのオープン化が待たれるところでもあります。
インディーズは、Mine Craftがまさに天下を取ったとも言えるモノでした。Mine Craftを管理するMojangの2012年の収益は219億円で、開発者のMarkus Persson氏には93億円のライセンス料が入ったと言われています。
ですが、会社を大きくするわけでもなく純粋にゲーム開発者で居続けるPersson氏や、楽しむためにこの仕事をしているというCEOのKarl Manneh氏は、実に「インディーズらしいインディーズ」でしょう。すでに、ゲームビジネスというモノが一つの一大ビジネスになってしまってから、どの大企業もココまで突き抜けた「自分達主義」な人達はそうもいないと言えます。もちろん、どの会社も儲けがないと生きていけませんので、そこらへんのバランスが非常に難しいとも思えるモノですが……。
これらは答えが出ていないので悶々とするほかないわけですが、どれも嫌なわけではありません。強いて言えば、未来がある方向性の話題と言えるでしょう。もちろん、夢物語で終わってしまっては困りますが、技術革新が進んでいる昨今においては本当に実現できるのではなかろうか? と思わせてくれる話題なわけです。
次世代機で、ゲームハードのユーザー層がどのように変化するかはわかりません。ですが、結局はゲーマーにとって重要なのは「面白いゲーム」であって、それが「面白いハード」と結び付いていればなお最高だ、という事でしょう。その「面白さ」にユーザーがいくらまで出せるか、というのも興味深く見守りつつ、ソニーとマイクロソフトの次世代機を待ちたいですね!
しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会
:ルミナスを製作した水口氏が、あれこれゲーム業界の未来予想してるよーって話題です。
:随分と長くなっちまってるな……。
:まぁその分結構面白かったですよ。わたくしは短く10個のうち3つだけを取り上げてまとめちゃったけど、10個分書かせたら連載3回分くらいになるし。でも、こういうゲーム業界の未来は色んな方向性があって、色々やれるから暗くなる必要ネーヨ! っていう風にも見えて凄く面白かったです。
:あー、なるほど。なんか次世代機はダメとか、スマホやタブレットがあれば他は要らないとか、偏った論調も多いからなぁ。ちゃんと広い目で見て、一つの意見に固執せず、きちんと物事を整理してから自分なりの意見をもってもらいたいものだ。
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クラウドシステムじゃ、何も変わらないでしょ。最近クラウドってやからが多すぎる。4万以上の次世代機が売れるってのは、海外の市場を理解出来てなさすぎる。