「俺の屍を越えてゆけ2」のレビュー 作り手と前作プレイヤーの思惑が一致しなかったらしいけど善し悪しを自分なりに理解して楽しめたという話:ネタバレ有り

気まぐれゲーム雑記
「俺の屍を越えてゆけ2」のレビュー 作り手と前作プレイヤーの思惑が一致しなかったらしいけど善し悪しを自分なりに理解して楽しめたという話:ネタバレ有り

いいとこわるいとこがいっぱいです。

何を許容するかで面白さは変わります

AZです。猛暑がどんなもんじゃい! と思いながらも素直にエアコンを使用してしまう自分の性格が恨めしく思う時があります。

さて、いよいよ話題の問題作「俺の屍を越えてゆけ2」のレビューに勇んで挑ませて頂きます。とりあえず先にこのレビューの見解を出しておくと、このゲームは「私はそこそこに楽しめた」というのだけはハッキリ書いておく次第です。ただ、視点を変える必要はあるわけで……。なお、ネタバレ満載なので注意して下さい。

俺の屍を越えてゆけ2

ストーリーでのラストバトル

「前作プレイヤー」が抱える問題点をふまえておこう

今「俺の屍を越えてゆけ2」のアマゾンやら何やらのレビューを見ると、低評価なモノが並んでいます。そこらへんから問題を整理しておきましょう。

まず、荒れた評価をする人は「前作プレイヤー」がメインです。ですが、前作をプレイした身としては、荒れる要素もわからんでもないという思いがあるのは否定できません。まぁ、それでも今の荒れ具合は「過剰」ですけど。

荒れている話題の中心に居るのは、「夜鳥子」というキャラクターです。「夜鳥子」はキーマンなのですが、ストーリー上でしっかりと主役の座につきつつ、ゲームシステムにも干渉します。という事で、荒れている要素の問題点はストーリー上での「夜鳥子」と、システム上での「夜鳥子」の2つにわかれるわけですが、まずはそのことを踏まえておきつつ問題をピックアップしていきます。

ストーリー上での問題?

プレイした限りでのストーリー上の問題は、「主人公一族の存在感のなさ」がメインでした。どの時点で「夜鳥子」が主役だと把握したかで、感想は全然違ったモノになるでしょう。私は元々ストーリーにあまり期待していなかったのと中盤あたりで「夜鳥子」が主役だと感じ取ったので、視点を変えてプレイしていたからそこまで強い思い入れもありませんし、反感もたいして生まれませんでした。まぁ、レビューの時に辛口になるかも? と思ったくらいですが、クリア後はそんな感じもなくなってます。

兎にも角にも、前作をプレイしていると主役は「自分達の一族」なわけで、続編ともなれば今作もその視点で語られると錯覚してしまいます。ですが、基本は「夜鳥子」の物語ですし、ゲーム内で「夜鳥子」と自分達一族の繋がりは明らかになりません。枡田氏の小説を読んでいれば繋がりもわかるわけですが、ゲーム内で語られていないためその関連づけが非常に弱すぎて、主人公一族に思い入れがあると主人公が取って代わられたような印象になります。

俺の屍を越えてゆけ2

家系図が繋がりのない(様に見える)「夜鳥子」で横に広がります

とはいっても、「夜鳥子」視点で語られる物語だと分かっていれば決して悪いモノじゃありません。夫婦のいざこざや色恋沙汰ではありますが、致命的に悪いとは思いがたいストーリーです。ですが「夜鳥子」が主人公であると認識しておかないと、評価が雲泥にわかれるものとなります。私としては、「夜鳥子」が主役ならば極めて問題のないストーリーだとも感じました。逆に、「自分の一族こそ主役!」と思っている人にとっては、「自分の一族」に感情移入されているので、それはもう素敵なくらい苛立ちもするでしょう。一族が空気なのは否定できませんし。

ゲームシステム上での問題?

ゲームシステム上での「夜鳥子」の問題というのは、最大4人PTのうち1枠を「夜鳥子」に消費しなければならないという事。また、「夜鳥子」を転生させるために奉納点を消費するという事の2つです。

元より、「俺の屍を越えてゆけ」というゲームは、奉納点を消費して神様と子作りし世代交代を重ねて自分の一族を鍛えながら、PT構成を自分で組んで攻略していくゲームです。その一族の1枠が「夜鳥子」に占拠されるとなると、ゲームプレイとしての縛りが地味にキツイ。特に、「夜鳥子」と一族の能力差が露呈した時にはどうしようかとも悩んでしまいました。「夜鳥子」は、死んで転生しないと能力の底上げができないようですし、わざと殺すのさえ計算に含めろという事なのか? とも思えてしまったモノです。

俺の屍を越えてゆけ2

俺の屍を越えてゆけ2

1年育てた「夜鳥子」と3ヶ月の一族で素質の違いが出過ぎた件

そういった点で、ストーリーは「夜鳥子」を中心とした攻略に切り替えるほかありません。とはいっても、ストーリーをクリアしてもゲームは続くわけで、クリア後はそのストレスから解放されるというのは明記しておきます。制限付きながらも一族の誰かが陰陽師にもなれますので、ストーリーを「壮大な鬼頭と陰陽師の解説をしたチュートリアル」と見るのも一手かもしれません。ついでに、この感想も「前作プレイヤー」が導き出す答えであって、「前作プレイヤー」でなければ何ら問題はないでしょう。

その他諸問題は?

今までは、「前作プレイヤー」だった場合の問題を挙げましたが、新規プレイヤーは問題がないくらい素晴らしかったかと言えばそんな事もありません。天界に神様が全然いない問題を筆頭に、ストーリーを通じて一度も遭遇しない神様もいます。

俺の屍を越えてゆけ2

猫耳を作ろうにも、ストーリークリアまでには一度も会えませんでした

ストーリークリア後のやり込み要素をプレイしていけばそのうち会う日もやって来ますが、自分一族を生かし続けるには神様が必要不可欠で、強くなるにも神様が必須です。そういった状況で、一度も会うことがない神様もいるというのは実に世知辛い。もうちょっとやりようはあった部分でしょう。

ついでに、一族の個性が「夜鳥子」の影響で鍋料理になっていく様は、流石に伝染率が高すぎです。6人しかいない我が一族のうち3人が鍋料理の好き嫌いを語っているのかと思うと、鍋料理の偉大さを思い知る他なくなります。……いや、好きですけどね。お鍋は。

俺の屍を越えてゆけ2

俺の屍を越えてゆけ2

俺の屍を越えてゆけ2

鍋料理について熱い思いがある我らが一族

また、DLCについては「消費系課金アイテム」が用意されていた時点で、実にしょうもない印象を与えてくれました。毎度書いていますが、私自身はDLCに否定的ではありません。ですが、ゲームを何ら拡張するものではなくプレイ時間さえ否定するような課金があるのは、私をゲンナリとさせてくれました。「使わなければ良いじゃない」は、お話になりません。他の人にゲーム情報を教える際、「課金するのが一番手っ取り早いよ」なんて答えが許されるのはF2Pやガチャ、スマートデバイス方面のゲームくらいです。

あと、添えおきたいのは「バグやフリーズが多発」と言うのを目にしましたが、残念ながら私はクリアまで一度も起こりませんでした。どうせなので、どうやったら再現できるのかを見てみたくも思ったわけですが、再現できないままにクリアへと行き着いてしまいました……。そういった意味では、ちょっと残念に感じてしまったのも否定できません。

世代交代の名の下に一族を鍛えていく面白さは健在

神様いない問題もありますが、基本的な部分としては神様と子作りをして次世代に攻略を託すといった面白さは健在です。クリア後は8職業に加えて「鬼頭」や「陰陽師」も含めて延々とプレイできるわけですから、根底たる面白さはブレていないと言えます。

ストーリーという名の壮大なチュートリアルがちょっと壮大すぎましたし、主人公一族の被害者っぷりと空気感は何とも世知辛い思いが去来します。ですが、クリア後をみれば「ストーリーよりもシステムを遊べ」という要素は前作通りなのかもしれません。

まとめ

今作は、ストーリー、ストーリー中のゲームシステム面で「夜鳥子」縛りがあります。「前作プレイヤー」である私としては、「夜鳥子」という主人公にイマイチ感情移入できなかった事を考えると、製作側はストーリークリアまでの導線作りや「夜鳥子」のさじ加減を間違えたとも言えるでしょう。ですが、ストーリークリア後が一番楽しめる事に間違いないわけですし、ゲームシステムそのものは前作を踏まえつつ遠征や祭り要素などより良くなっています。ストーリークリア後こそ、本当の意味での「本編」といっても過言ではありません。

本作の荒れ具合を見ていると、ストーリー面に期待していた反動が大きいというのも理解はできますが、作り手と前作プレイヤーの思惑が一致しなかったという事に尽きます。どんなにシステムが良くてもストーリー内容や神様関連ですべてがダメという人にとってはそれが全てなのでしょうし、きちんとシステム面に目を向けられる人にとってはしっかりと楽しめるのも間違いありません。そういった意味では、「あらゆる方面から楽しんでいる人がいた」という事も言えますし、それまでどういったゲームをどれだけやってきたのかという経験も影響している様には感じました。私にとっては、ストーリーは微妙でしたがゲームシステムでそこそこに楽しむ事ができたと言える作品です。

私は、ツイッターで色々と建設的な話をするなどの動きを見せて今の荒れた原因を理解した枡田氏が、新たに作るかもしれない続編にはそこそこに興味を持ったりもします。はてさて、今後本作のパッチが出てくるのか、根本的にシリーズがこれで終わりとなるのか、それとも次なるモノが出てくるのかはさっぱりわかりませんが、シリーズがどうなっていくのかはじっくりと見守っておきたいモノですね。

しょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:そんなわけで、なんとか「俺の屍を越えてゆけ2」のレビューを完成させました。

しゃきーんさん:ふむ。なんだか大変そうだったな。

しょぼーんさん:なんというか、どの意見もすべからくプレイした人達なんだろうし、感情で訴えたいのはわからんでもないんだけど、少々過剰すぎるとも思うしゲームとして評価してる人って少ない様にも見えました。ゲームに何を求めるのかってのは難しいよね。プレイ体験そのものが感情を動かす余興だとも思うけど。……ま、誰が何と言おうとわたくしとしては色々考えさせられる良いゲームだったのは間違いないです。

しゃきーんさん:色々荒れたからこそ、思うところが出てきたというのも確かだしな。何はともあれ、お疲れ様でした。

「俺の屍を越えてゆけ2」のレビュー 作り手と前作プレイヤーの思惑が一致しなかったらしいけど善し悪しを自分なりに理解して楽しめたという話:ネタバレ有りに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん

しゃきーんさん

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