レビュー「Salt and Sanctuary」:お塩を捧げて強くなる、ダークソウルライクな探索型2Dアクション

Salt and Sanctuary

「嫌じゃない」緊張感と高難易度

読んでも読まなくてもよい前置き

先に申しておきますと、私は何かの類似的なゲーム、いわゆる「○○クローン」と呼ばれるタイプのゲームは好きでも嫌いでもありません。はっきり言って、ゲームなのだから「面白いか」「つまらないか」だけで判断します。

ですが、「○○クローン」はクローンなだけあって、評価のハードルが上がります。そりゃまぁそうです。「○○クローン」なるモノを突き詰めてしまえば、“アレをパク……いや、インスパ……いや、影響されました!”という代物なわけで、そのクローンの元となったゲームが好きな人達からすれば、厳しい目で見てしまうのも仕方がないところでしょう。

しかして、ゲームのアイディアというのは概ね何かが影響しているモノです。むしろ、クリエイティブな仕事をする際に、その影響を理解しないまま何かを作り出すというのは困難を極めます。要するに、無から何かを創造することはできない、とかそんな小難しい話になるわけです。

それに、クローンについてどうこう言い出したら、巷に溢れるダンジョンRPGとかをどう扱えば良いのかわからなくなりますし、Cities Skylinesのように類似作が元祖やジャンルを代表する一作を超える時だってあるわけです。なので、「何かに似ている何か」というのは、清く正しくいち商品として見てあげるのが望ましい、と思い知らされる今日この頃だったりします。……あ、ポケモンGOの類似品みたいな、危なっかしいのは根本的にダメですよ?

ここまでが前置きです。

キャラメイクもダークソウル感

さて、本日レビューするのは「Salt and Sanctuary(ソルト アンド サンクチュアリ)」でございます。ダークソウル好きで探索型2Dアクションが好きな人や、グラフィックにはさほどこだわらない人は買いです。是非やりましょう。少なくとも、わたくしめにとっては2016年の「イチオシ」にリストアップして良いくらいに面白いです。あ、安心して下さい。日本語、ありますよ。

Salt and Sanctuary

Aボタンを押しましょう

と、猛プッシュしたところで早速内容を見ていきましょう。

ゲーム開始直後は、まずキャラメイクをする事になります。職業も、騎士から盗賊、平民に至るまでダークソウルらしいレパートリーが揃っておりますが、何が良いかはどのように成長させるかで決めると良いでしょう。ダークソウルでお馴染みの脳筋や、技量特化、魔法使いまでかなり柔軟に成長させる事ができます。

Salt and Sanctuary

平民、案外武器が強いです

ただし、武具の扱いが少々違っており、武器や防具にはそれぞれ“クラス”が存在しています。蜘蛛の巣状に張り巡らされたスキルツリーから、どの武器が良いかを選び取っていく必要があるので、初回はある程度作り直す事を前提にプレイした方がいいかもしれません。ついでに、スキルツリーは“灰色の真珠”というアイテムがあれば、取ったけど要らないスキルを削除(つまり、他のステータスに回せる)する事ができるので、かなりな脳筋を作ることも可能です。スキルについては、後ほど詳しく書きます。
Salt and Sanctuary

一周目はみんな大好き(?)脳筋などの武器メインで攻略するとやりやすいかも?

サンクチュアリを拠点に探索

物語の冒頭は、プレイヤーはとある任務で王女を護衛しており、船旅で謎の敵から襲撃を受けるところから始まります。チュートリアル的なモノとなりますが、頑張ればボスを倒せないこともありません。その後、とある島に漂着したプレイヤーは王女を探す事になりますが、最終的にはその島の秘密を探っていく、というモノへと繋がっていきます。

Salt and Sanctuary

全体的に、島は暗い

で、漂着して最初に出会うNPCのじーさまが、何を信仰しているのかを尋ねてきます。恐らく着いた時点では信仰だの何だのと何を言っているのかわからないレベルですが、三択なのでノリと勢いで選んでも問題はないでしょう。そして、何を信仰するのかを決めると“信仰の器”が貰えます。その信仰の器をサンクチュアリで使う事によって、その領域をプレイヤーが信仰する領域に変える事ができるようになります。まぁつまり、ダークソウル風に言えば「篝火」です。

Salt and Sanctuary

篝火的なサンクチュアリ

サンクチュアリにはHP回復やポーションの補充、レベルアップ以外にも各石を捧げる事でNPCを呼び出せますが、一部のNPCは信仰によって貰えるアイテムが異なったりします。で、先も書いた「どの信仰がいいか」になるわけですが、どういったキャラクターを作りたいかで変化するでしょう。それに、探索の途中で最初から信仰の器が設置されているサンクチュアリにたどり着けば、そちらの信仰に変える事も可能ですので、色々試してみるのが一番手っ取り早いです。

Salt and Sanctuary

初期に選べない石の根のサンクチュアリ

スキルツリーでステータスをアップ

サンクチュアリが理解できてきたら、次は成長システムへと繋がる経験値の話です。

ダークソウルの経験値やお金が「ソウル」に集約されていることに対し、このゲームでは経験値や武具強化に使われるのがSalt(塩)で、お金はそのまま存在しています。で、死亡した場合、お金は有無を言わさず1割消費しますが、すべてのSaltは一度だけ「プレイヤーを殺した敵」もしくは「落下死などの場合は新しい敵」に奪われる形となっており、それを無事取り返せばSaltは失われずに済みます。ただし、回収前に死亡した場合は、最初に奪われたSaltが永久に取り戻せなくなるという仕様です。

Salt and Sanctuary

高レベルになると、俄然死にたくなくなるわけです

このゲームは、成長も楽しめる要素の一つと言えます。このゲームでは、レベルを上げると“黒の真珠”というアイテムが入手できます。そのアイテムを使って、蜘蛛の巣状に張り巡らされたスキルツリーのスキルを取得していく事になります。まぁ、スキルというとちょっとわかりづらいですが、大抵は「ステータスをアップする」と思っていればOKです。ただし、先も書いたとおり、各武器や防具、魔法に至るまですべてに「クラス」が存在しており、そのクラスを満たしていないと装備する事ができません。よって、メイン武器としたいモノのクラス解放を目指して、スキルツリーを伸ばしていく事になります。

Salt and Sanctuary

脳筋仕様です

また、武器や防具は「強化」と「変成」があります。強化の場合、NPCの鍛冶屋をサンクチュアリに呼び出して、あとは素材を集めれば可能です。変成については、同じくNPCの錬金術師をサンクチュアリに呼び出して、武器と雑魚やボスが落とす素材があれば変える事ができます。素材とSaltさえあれば、初期武器を最大クラス5の武器に変成することも可能です。ちまちま変成していくも良し、最後の方までため込むも良しです。好きなように武具をいじってみると良いでしょう。

Salt and Sanctuary

変成で作る大斧

アクションもわずかながらに増える

システム面は以上となりますが、アクション面に目を向けると、まずHPは「攻撃されると徐々に最大値が減っていく」仕様になっています。スタミナも同様ですが、消費した最大HPなどはサンクチュアリで回復する事が可能です。こういった要素は、ダークソウルの亡者な仕様を上手くアレンジしたと言えば、何となく分かりそうなところにも感じられます。

他にも、ゲームを進めていくと焼き印をいくつも押してもらうことになり、その都度プレイヤーには何かしらの能力が増えていくことになります。重力を逆転させるオベリスクが起動できるようになる焼き印から、壁に張り付いてのジャンプ、空中で多少ながら前進するモノまで、すべて攻略に必要となるアクションです。アクションが増えるたびに、探索できるエリアも増えていくというのは、探索型2Dアクションの醍醐味とも言える部分でしょう。

Salt and Sanctuary

空中ダッシュ的な何か

総評:2D探索型ながらに見事ダークソウルの要素を落とし込んだ秀作

本作は、ダークソウルが持つ要素にそこそこなアレンジを盛り込んだ2D探索型アクションです。ですが、どの要素もダークソウル好きなら喜んで楽しめるタイプの仕上がりになっている秀作の一つでしょう。ただし、コントローラでのプレイを推奨しておきます。アクションなので、キーボードは慣れないと結構シンドイモノがありました。

また、ダークソウルらしい雰囲気なせいもあってか、全体的に難易度が高いといってもいいバランスです。探索する事の楽しさはさることながら、ボスも何度かやっていれば攻略の目処も立ちますし、しっかりと2周目も存在しています。遊ぼうと思えば、かなり長い事プレイできるのではないでしょうか。

そして、全体的にゲーム画面そのものが暗く、白黒でできている世界なのかとさえ思える瞬間もありますが、クリア時には色々と報われるような気分にもさせてくれます。そういった世界観からクリアまでの運びが上手いというのも痛感させてくれるゲームでした。

「高難易度」「ダークソウルライク」「探索型2Dアクション」といったキーワードに反応できる人は、プレイしておいて損はありません。それらに該当する方は、是非に敵を倒してお塩でレベルアップしまくり、島での探索を満喫する事をオススメさせていただきたく思います。

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

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