連載:気まぐれゲーム雑記 第797回:クラウドゲーミングの気になるところは、コンテンツを充実する事ができるかという点

いつになるのかはわからないけど、クラウドが一定層から支持を得る未来は何となくわかりそうな気はする

どれくらいコンテンツを揃えられるのか

AZです。秋葉原を元気よく歩き回ったのですが、気づけば好きなお店がちらほらとなくなっていて時代を感じてしまいました。

それはさておき、クラウドに並々ならぬ未来を見続けているシンラ・テクノロジーの和田洋一氏が「次の10年を飾るプラットフォームとしてクラウドゲームの存在がある」と基調講演をおこなったそうです。結構長いのですが、なんとなくポイントを抑えられるように引用してみます。

現在、世界のゲーム市場は8~10兆円という規模に急成長を遂げているが、プラットフォームの推移に眼を向けるとオフライン端末向けの市場が急速にしぼんでいく一方、オンラインPC、オンラインコンソール、そしてモバイル端末向けといった分野が急拡大し、“オンラインが当たり前”という市場が重層的に形成されている。

~中略~

それが近年、デジタルディストリビューションが主流となり、流通のコストが劇的に変わった。デベロッパーと消費者の距離が縮まり、参入障壁が下がった結果、市場規模が飛躍的に拡大した。海賊版の問題も減り、中古品は根絶された。ビジネスモデルとしては、エピソード毎といった断片でコンテンツを送る、ゲームの部品や機能を売るといった柔軟な商売が成立するようになった。その真骨頂がF2Pであり、それは必然的な帰結だという。

~中略~

かつてゲーム産業を拡大させてきた数々のパラダイムシフトは、登場当時は批判にさらされてきたものばかりだ。

~中略~

「ゲーム機からスマートフォンへ」というパラダイムシフト。据え置き機全盛の時代、皆が重厚長大タイトルに目を向けていたときにスマホというのはAAAタイトルに不適格、まともなゲームができないなどと批判があったものだが、結果はどうか。ゲームのデザインやの関わり方を多様化し、圧倒的な裾野の広がりをもたらし、ゲームファンだけでなく全ての層にもたやすくリーチしていくという、産業としての強固な基盤を確立した。

~中略~

ゲームの開発者はコンテンツデザインこそが産業を引っ張ると考えたがるが実際はそうではなく、テクノロジーとビジネスモデルがコンテンツデザインを規定するという現実があると和田氏は語る。実際、この10年ではネットのコモディティ化によって新たなビジネスモデルが台頭し、それによってゲームコンテンツの中身は大きく変わってきた。そして「ネットというだけで面白かった時代がとっくに終わった中で、ネットをどう深堀りしていくかが重要なテーマになる」と和田氏はいう。

シンラ的クラウドゲームの仕組みが、その可能性を広げていく。例えば、ゲームプログラムが全てサーバー側で完結するクラウドゲームであれば、従来マルチプレーヤーゲームの開発者が苦しんできたサーバー・クライアント間の開発言語の違いや、同期の難しさ、不正対策といった苦労が全くいらなくなる。クライアント側のスペックの差や通信環境の差への配慮も不要になる。オンラインゲームの開発のために使われていた大半の労力を、クラウドゲームではコンテンツのデザインに集中できるというわけだ。

[引用元:Game Watch

いわゆる、ビジネス的な視点でモノを申すと言うヤツですね。

「誰もが楽しめるソフトがあってこそゲームだ」という意見もわからなくはありませんが、それを下支えするハードの存在は非常に重要です。ゲームのソフトとハードは持ちつ持たれつの蜜月な関係と言えるわけで、それは見ている視点で大きく変わるでしょう。ハードがなけりゃ始まらない論も間違いじゃなければ、誰もが賞賛するコンテンツ(ゲームソフト)があってこそゲームビジネスだと言うのも間違いではないのです。

で、和田氏は要するに、この先10年でそのハード的な部分としてクラウドゲームが台頭するという未来像を描いた、という事になります。クラウドに必要なモノはネット環境なわけですが、すでに日常でさえスマートデバイス等々によるネットへのアクセスは当たり前の時代に突入しています。となると、クラウドの未来というのも当然視野に入ってくるのはわかりやすい話ですが、最終的に「どの程度のコンテンツを集められるか」が鍵になりそうな気がしないこともありません。

すでに、クラウド関連については、ソニーが一歩秀でている印象があります。Gaikaiを買収しPS Nowの運用を開始していますし、更にはOnLiveの主要部を取得するといった動きも見せました。といったところで、今のところPS Nowがもの凄く流行りそうかと言われたら、そんなこともないような気がしてならないので、この先10年でどうなるのかはまだまだわかりませんが、コンテンツの量だけならソニーというかPlayStationというプラットフォームの方がはるかに上を行くわけです。シンラ・テクノロジーが、サービスとしてどの程度充実するのかは大きな注目点にもなりましょうか。

クラウドには、何かしらの可能性があるのは確かでしょう。そして、そこが賑わっていくことも非常に良いことと言えます。最終的には、どの会社も「サービス合戦」になる事は予想されますが、はてさてクラウドゲーミングはどこが「一番」と呼ばれる存在になるのか。この先10年を楽しみにしておきたいですね。

連載:気まぐれゲーム雑記 第797回:クラウドゲーミングの気になるところは、コンテンツを充実する事ができるかという点に関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:シンラ・テクノロジーの和田洋一氏が、クラウドゲーミングに関する基調講演をやったよーってなお話です。

しゃきーんさん:どうなの? 実際。

しょぼーんさん:一応テストとか色々やってるみたいだし、この先数年の間に何かしらの答えは出すんじゃない? その間に、ソニーがどうするのか次第でずいぶんと変化するような気はするけど。……クラウドは、いつ話題にのぼりますかねぇ……?

しゃきーんさん:この先10年を見とけって話だろ? ……すっかり、年老いてるだろうけどな。

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