レビュー「Factorio」:資源集めの“面倒”を自動化で解決する、早期アクセスなのに圧倒的な中毒性がある工場生産の開発ストラテジー

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自動化する事の楽しさと難しさ

読んでも読まなくてもよい前置き

ある程度、長い事ゲームをやっておりますと、「……あ。このゲーム、ヤバいな……。」と思う瞬間がありまして。ええ、ありまして。いわゆる、ハマるというヤツです。こう見えて、ゲームはそれなりの数をこなしているとは思っておりますがゆえに、続ける事が危ぶまれるゲームというのが感覚的にわかったりするのです。まぁ、ある意味、自分の好みを正しく把握しているという事でしょう。

そりゃもうハマると何が危ないって、朝始めたのに気づけば朝だったとか、睡眠と食事を忘れたとか、果てにはちょっと休憩中でもゲームの事しか考えていないとか、某スタンドの能力でも使われたかのような気分に陥ります。ついでに、健康的な意味合いでも本当によろしくない。シヴィライゼーション4とか、シヴィライゼーション5とか、Terrariaとか、ああいった時間の概念を忘れさせる系のゲームというのは本当にデンジャラスだと思うのです。

ですが、そこまでハマったモノというのは、自分にしかわからない圧倒的な満足感が得られます。もちろん、素に戻った時の「何やってんだ、わたしゃ……。」という感覚もセットで付いてくるので注意が必要なわけですが、そういった満足感はなかなか得がたいモノでしょう。それだけ、ハマる事ができるゲームというのは非常に稀有である事に間違いはありません。

というわけで、わたくしにとって“稀有”なゲームをご紹介したく思う次第でございます。

あ、ここまでが前置きです。

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当方のプレイ時間

頭が爆発するくらい考える必要がある都市開発……ではなく、工場生産ラインの開発

さて、本日レビューするのは「Factorio」というゲームですが、とりあえず公式トレーラーを見てみて下さい。ざっくりとした雰囲気が伝わること間違いなしでしょう。あ、あと安心して下さい。日本語、ありますよ。

では、内容を見ていきましょう。

本作は、我が宇宙船がどっかの惑星に不時着しちゃった的なノリで、そこからどうにか頑張るぞー的なSFベースのストラテジーですが、キャンペーンとフリーモードがあり、キャンペーンの一部はチュートリアルになっています。キャンペーンは目的があるのでそれを達成すればクリアとなりますが、フリーモードは工場を発展させながら研究も進めていき、最後は衛星を打ち上げるというのが目標になっています。フリーモードならより長く遊べるでしょう。よって、フリーモードをベースに解説していきます。あ、チュートリアルは本当に初期の解説くらいで、その後いきなりフリーモードにいくといくつか壁となって立ちはだかる要素があるので注意して下さい。

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衛星を打ち上げましょう

このゲームには、多くの要素が含まれています。基本となる資源の確保から、物への加工、そこから更に別の物を作っていくというような物作り的な要素と、都市開発ならぬ工場開発の要素がまざっており、さらには敵の襲撃や戦闘といったRTS的な要素も含まれています。後半になればなるほどやることが多いので頭が爆発してくるわけですが、まずは順番に見ていきましょう。

このゲームは、わかりやすく言うと「資源を取りに行くのが面倒なので自動化しちゃえ!」というゲームです。ベルトコンベアを作り資源を運ぶのですが、主要な資源は4つ。「銅」「鉄」「石炭」「原油」となります。特に序盤は「銅」「鉄」「石炭」しか使わず、「銅」「鉄」に限っては最初から最後まで使い続ける主要な資源です。むしろ、この「銅」や「鉄」を加工していき、別の物を作っていくことになりますが、その別の物を作っていくのさえも「組立機」に任せちゃおうというのがポイントです。「鉄板」から「ネジ」を作るなど簡単なモノはプレイヤーでも作る事が可能ですが、後半になっていくと「エンジンユニット」なんてモノは工場じゃないと作れません。つまり、ベルトコンベアで資源を運び、組立機で加工して、更に運んでいき何かを作っていく、というのが基本になります。

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こんな感じの序盤が……。

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こんな風になります。

ゲーム開始時は、開発するためのレシピが乏しく研究さえままなりません。電気を確保する事で研究も可能になっていくので、まずはそこを目指すことになります。また、このゲームは多くの建物に「汚染度」が設定されており、汚染が酷くなってくると敵が襲撃してきます。ですので、どこにどういった資源があって、どういう風に資源を流してアイテムを製作するかや、どこで敵を迎撃するかなどを考えていく必要があります。それに、アイテム製作をするには「組立機」が多く必要になってくるので、どんどん敷地が巨大化することになりますが、それと比例するかのように汚染も濃くなってくるので、敵の襲撃も増えていく事になります。設定次第では、さほど敵の襲撃はありませんが、最終的に敵の巣を破壊して手に入れる素材が必要になるので、ある程度敵がいるようにしておくと良いかもしれません。

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襲撃に備えた壁とガンタレット

資源を流してアイテムを作るといった「物流と生産」の流れが作れたら、中盤以降に本格化してくる「原油」との戦いが待っています。「原油」は物流ではなく液体なので、パイプを使ったネットワークが求められます。最初、電気を作るのにポンプからボイラー、蒸気機関といった液体関連を扱う必要がありますが、「原油」はそれの比ではありません。「原油」から油井を経て、原油精製所、化学プラントといった行程を経て目的のモノを作っていく必要があります。仕組みを理解すればそこまで難しい事もありませんが、建築物がそこそこに巨大で、尚且つパイプは通行不可なので計画的に作っていかないといけません。最後までたくさん必要になるアイテムもあるので、場所や生産量、作るタイミングなど計画的にやっていかないと、終盤になってアイテム不足で泣くハメになったりします。

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計画的に建てたまでは良かったけど、結局上手く動かない

また、他の要素として、しっかりと敵との戦闘もあります。序盤ならさほど敵も襲ってきませんが、中盤以降は襲撃がそこそこあるだけに、ちゃんと武器を持っておくに越したことはありません。戦闘は、装備してる銃器でスペースを押せばマウスカーソルの方向に撃つ程度のモノで、そう難しい事もありません。ですが、後半になって成長した敵の巣を破壊しなければならなくなると、通常装備の銃器以外の攻撃手段が求められます。例えば、手榴弾や毒をばらまく「毒素カプセル」などが用意されているので、色々と試しに作ってみるのが良いでしょう。工場を拡大していくだけではなく、戦闘にもある程度備えておく必要があるというのも、このゲームの良いところの一つです。

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毒素カプセルをばらまきます

本当に最後のほうになると、列車や飛行ロボットにモノを運ばせるなど、輸送手段が豊富になっていきます。ですが、最初の方に書いたとおり、このゲームは「自動化する」事がメインです。よって、基本的な考え方として、資源をどうやって集めて、どのように加工していくかというのは変わりません。ですが、当然ながら選択肢が増えればそれだけ複雑化しますし、工場が拡大すればするほど自分の考え通りにはいかなくなっていきます。何度も何度も考えながら、自分だけの最適化された自動工場を作り上げていき、実際上手くいったときの感動こそ、このゲームが最高に楽しいと思える瞬間ではないでしょうか。

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理想は果てしなく遠い

不満点もちらほらと

早期アクセスだからというわけではありませんが、不満点もいくつかあります。まず、研究が結構見づらい。レシピを増やしていくには研究をするしかありませんが、何を研究すれば、何が作れるようになるのかが一見では理解できません。研究については、何となく覚えておく必要がある気はします。

あと、原油からとれるモノはとり続けているとドンドン生産量が減っていくわけですが、原油がなかなかないマップだとアイテム作りに苦労する時があります。まぁある程度運が絡むので仕方がないのですが、もう少し救いがあるともう少し気軽にできそうな気がしないこともありません。

また、本当に最終段階はそれまでの比ではないレベルの資源量が求められます。ある程度、最初から想定してじっくり貯めていく必要があるでしょう。最後になって、急に集めるという話になると、それはそれでかなり大変なことになります。もちろん、最後のロケットを作る気がなく、延々と遊ぶようなプレイスタイルなら一切合切問題はありません。むしろ、ロケットを作れるくらいになっていれば、それなりの事もできるでしょうから、そこから自由に遊んでみるのも良いでしょう。

総評:自動化を考えるのが最高に楽しい、時間を忘れさせてくれる驚異的一作

何をどうやって運んで、どこでどんなモノを作るのか。それを作るにはどんな材料が必要で、どういったネットワークを組んで、どれくらいの量を作って、最終的に何を作るのか。やっていることはシンプルにそれだけなのですが、それがなかなかどうして、自分の思うような理想には行き着かない。その試行錯誤が凄く楽しめる一作でした。少々不満はあれど、その程度の事は気にさせない圧倒的な面白さがあります。

現実的に見てみると、自動化や効率化、どれだけ少ないコストで生産ラインを実現できるか、といった工場でも生産面に特化したストラテジーです。グラフィックやサウンドはシンプルなモノですが、生産ラインを含めた何でも自動化で作っていく工場開発ゲームというのは、そうはないでしょう。ジャンルで言えば、都市開発系に該当するとは思いますので、その手のジャンルが好きならば、手を出しておいて損はありません。……整理整頓が得意なら、なお良しです。

本作は、早期アクセスながらに実はマルチプレイが可能だったりするなど、まだ完成してはいないモノのかなり遊べる内容になっております。動作要件も比較的低い代物ですし、開発系のストラテジーが好きな人は是非にプレイして見て欲しい限りですね。

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ロケットサイロを作ってからが本番

この記事を書いた人

AZ

AZ :

「独り善がりなゲームログ with 電漫堂」の管理人。かつて編プロに勤めていたけど、気づいたらWEB屋になってた。ハンドルネームは「アズ」と読むはずだけど、かつてとあるゲームで外人さんからボイスチャットで「Hey! AZ(エイジ)!」と呼ばれて以来、どう読むべきなのかをかれこれ10年以上悩んでる。

レビュー「Factorio」:資源集めの“面倒”を自動化で解決する、早期アクセスなのに圧倒的な中毒性がある工場生産の開発ストラテジーに関するしょぼーんさんとしゃきーんさんのゲーム座談会

しょぼーんさん:「Factorio」のレビューでございます。

しゃきーんさん:すこぶる楽しんだようだな。

しょぼーんさん:いやぁ、楽しかった。早期アクセスのモノをココまでやり込んだのは久しぶりっすな。シムシティとか、そういうのが好きな人は是非やって欲しいね。完成度も高いし、日本語あるから安心して良いと思うよ。……料理とか家事を自動化できたら良いんだけどなぁ……。

しゃきーんさん:……現実を見た方がよろしいかと……。

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